音大と看護科

ご訪問ありがとうございます!
はと出張音楽教室の蔭山です。

 

皆さんもそうなのか私だけなのか分かりませんが、

音大に行くくらいなら看護科に行ったほうがマシ

といった言葉を聞くことがあります。

 

いや、もっと厳密にいうと、

私立音大に行くくらいなら私立看護科に行ったほうがマシ

となります。

 

私も、「ある意味ではその通り」だと思います。
(こう言っては音楽関係者から怒られるかもしれませんけど ^^;)

でも、別の意味では「違う」と思っています。

 

私立音大と私立看護科が、なぜ比較されるか

 

「え?なんで看護科を引き合いに出すの?」
と思った方もいらっしゃると思いますが、もちろんワケがあります。

 

少しケチ臭い話になりますが、毎年かかる費用を見てみましょう。

※ ここでの費用とは、入学者側にかかる初年度費用を指します。

 

私立音大(四年制)の初年度費用

 

下記サイトが参考になります。

⇒ 音大学費ランキング

一部引用すると、次のとおりです(2017年度データのようです)。
数字が初年度費用の金額(円)を示しています。

  • 桐朋学園大学 音楽学部 音楽学科 2,706,600
  • 東京音楽大学 音楽学部 音楽学科〈器楽専攻〉 2,312,000
  • 国立音楽大学 音楽学部 演奏・創作学科 2,217,000
  • 武蔵野音楽大学 音楽学部 演奏学科〈器楽コース〉 2,210,000
  • 名古屋音楽大学 音楽学部 音楽学科〈ピアノコース〉 2,020,000
  • 名古屋芸術大学 芸術学部 音楽領域〈エンターテインメントディレクション&アートマネジメントコース、音楽ケアデザインコース以外〉 2,014,660
  • 大阪音楽大学 音楽学部 音楽学科〈ミュージックコミュニケーション専攻以外〉 2,270,300
  • 大阪芸術大学 芸術学部 演奏学科 2,080,000

大学・専門学校学費ランキング

初年度費用なので入学料が入っていますが、それを差っ引いても(以下省略)。

 

私立看護科(四年制)の初年度費用

 

先ほどと同じサイトが参考になります。

⇒ 看護系私立大学学費ランキング

一部引用すると、次のとおりです(2016年度データのようなので、先ほどと1年ずれますが、参考にはなると思います)。
数字が初年度費用の金額(円)を示しています。

  • 東邦大学 看護学部 看護学科 2,480,370
  • 昭和大学 保健医療学部 看護学科 2,346,000
  • 聖路加国際大学 看護学部 看護学科 1,950,000
  • 慶應義塾大学 看護医療学部 看護学科 1,795,850
  • 椙山女学園大学 看護学部 看護学科 1,929,300
  • 愛知医科大学 看護学部 看護学科 1,670,000
  • 姫路大学 看護学部 看護学科 1,995,000
  • 川崎医療福祉大学 医療福祉学部 保健看護学科 1,750,000

大学・専門学校学費ランキング

私立看護科には私立音大並みの費用がかかるところがある

 

以上のデータを参考にすると、
全体的には、私立看護科のほうが私立音大よりは若干低コストですが、
莫大な費用がかかることが分かります。

中には、私立音大並みのところもあり、
むしろ逆転してしまうこともありそうです。

 

私立音大ばかりが高額だと言われていますが、
私立看護科も負けて (?) はいませんね。

 

私立音大出身だと就職先がないが、私立看護科出身だと就職先がある

 

私立音大を出ても、正職員としての就職先があまりありません。
逆に、今は医療の需要が高まっており、看護師の採用は盛んであるため、
私立看護科を出れば仕事に困ることはありません。

・・・というのが世間一般の常識ですし、
私も大方そのように認識しております。

看護師には、病院、診療所(クリニック)、福祉施設、その他会社や学校の医務など、
 “看護師としての” 就職先がさまざまに存在し、
保健師等の資格をさらに取得した人には、より幅広い可能性があります。

 

しかし、音大出身者の就職先といえば、
中・高等学校・・・くらいしか思い浮かびません(狭き問だけど)
教員免許を取得していない場合は、う~ん、申し訳ないけど、思い当たらない。。。

「音楽教室の先生は?」と思った方もいると思いますが、
たいていは業務委託契約(つまり労働者ではなく個人事業主扱い)だったりします。

音大出身者には、
看護師でいうところの病院や診療所にあたる場所がないのです。

しかも音楽は、医療と違って、
生きていく上で絶対必要というものでないし、
看護師法(※)はあっても音楽家法という法律はないため、
国・地域レベルで必要に迫られることもないのが現状です。

 ※ 正確には「保健師助産師看護師法」です。

 

まあ、わざわざ事細かに書かなくても、
看護師がいかに人々に必要とされている職業かは、
想像に難くないかと思います。

 

私立音大も私立看護科も、どちらもかなりの高額な費用がかかるのに、
片や無職 片や安泰 ともなれば、
音大に行くくらいなら看護科に行ったほうがマシ」と言われても仕方がないのかもしれません。

現実主義な親御さんたちは、
おそらく、そういった考え方をするのではないでしょうか。

たとえ子供に多額の投資をしても、
将来そのリターンがあることが明確であれば
おそらく私立音大よりかは私立看護科に行かせたくなると思います。

 看護職って離職率も高いようですけど、
 まあ今回は深入りしないでおきます。。。

 

「何をしたいか?」が重要

 

たしかに、就職やリターンのことを考えたら、
私立音大よりは私立看護科のほうが現実的といえるでしょう。

しかし、その比較は、
明らかに “中身” を無視している乱暴なやり方です。

 

私立音大は、音楽です。
私立看護科は、看護です。

 

音楽と看護・・・
これらは同じものですか?

 

・・・違うものですよね。

 

どっちでもいいなら、私立看護科でいい

 

受験する本人が「どっちでもいい」というなら、
私立看護科を選べば良いでしょう。

これについて、特に異論はございません。

 

音楽をやりたいなら、私立音大か

 

本人が「音大がいい」「音楽をやりたい」と考えているなら、
私立看護科を勧めるのは酷です。

そんなことをしたら、親子間の溝は大きくなるはずです。

 

でも、家庭の経済的事情というものもありますから、
「絶対に私立音大にしようね」とまで断言はできません。

本人は音楽をやりたくて仕方がないわけですが、
色々な現実を見てきた親御さんと比べたら、
本人はまだまだ子どもで、現実的思考ができていない可能性もあります。

(↑ それこそ若いってことですから、
 現実的思考はまだそんなにできなくてもイイとは思いますケド!)

そうなると、親子間でよく話し合わなければなりませんし、
レッスンの先生や学校の先生、
ひいてはキャリアの専門家などのカウンセリングを受けることが望ましいでしょう。

ただ、親子間の話し合いを建設的なものにするには、
日頃からお互いの信頼関係を深める努力が必要にもなってくるので、
本当に、こればかりは難しい問題といえます。

 

その他の大学の検討

 

今回は、あくまでも、

 私立音大 VS 私立看護科

という具合に2つに絞ってお話しを進めてきましたが、
当然、大学は色々あるので、2つに限る必要はありません。

 

音楽関係の大学といっても、
教育大学だってあるし、国公立大学だってあります。

そもそも、音大を目指す多くの人は、
私立音大一本ではなく、国公立も受験したりします。

というのも、やはり国公立だと安く済むし、
ある程度のお墨付きも得られやすいからでしょう。

 

看護科だって、私立大学だけではなく、
当然に国公立大学だってあります。
専門学校だってたくさんあります。

 

あ、そもそもですが、「看護はイヤ」という場合は、
当然、もっとほかの科を検討することにもなりえます。

 

となれば、
音大の受験は国公立だけにして、私立は音楽以外の専攻にする
という手を選ぶ人もいるでしょう。

つまり、音大が不合格だったら、仕方なく音大以外の私大に行くというケースですね。

 

音大出身だと、本当に就職先はないのか?

 

音大を卑下するような感じになったので、
念のためフォローを入れておこうと思います。

 

音大出身だと、全く就職できないのか?
と言われたら、当然、そうとは限りません

たしかに、先に書いたように、音楽関係の安泰な就職先は、
なかなか思い浮かびません。

が、音楽という枠にこだわらなければ、就職先は色々あると思います。
介護職なんてのは、人手不足で有名ですよね。

 

ただ、本人が「イヤ」と思ってしまえばそれまでですね。。。

でも、本当に音楽を続けたいなら、
嫌だと思うことも果敢にやっていくべきだと思います。

それが “音楽を愛する” ということでもあるのです。

ともかくお金を稼ぎ、ある程度安心できる生活を送れないと、
不安な気持ちで毎日を過ごし、
音楽そのものにも心血を注げなくなってしまいます。

 

就職するしない関係なく、好きなことに没頭するためには、
乗り越えなければならない壁がある
というのを覚えておかれると良いでしょう。

 

最後に

 

少し堅いお話しになってしまいましたが、
あまり現実的に考えすぎても夢は縮小してしまいますから、
ほどほどに・・・♪

若いうちは特に、やりたいことはやったほうがいい、と思います。

「若いって、何歳まで?」
・・・う~ん、25歳前後? 30歳?
まあ、自分で決めれば良いのではないでしょうか^^

 

でも、ちょっとだけ “現実” のことも考えてみてくださいね♪

 

と、今回は、

「音大に行くくらいなら看護科に行ったほうがマシ」

という話から、なんだか説教じみた話になってしまいました。m(__)m

リターンのことを考えた現実的な意味では、
上記の言葉はその通りといえます。

でも、やりたいことや夢、人生のことを含めて総合的に考えたら、
上記の言葉はかなり乱暴な言いまわしと考えられます。

 

では、さらば!!