ご訪問ありがとうございます!
はと出張音楽教室 主宰・講師の蔭山卓司(おかげ)です。

2017年6月の梅雨入り後、鳥取県鳥取市の「わらべ館」というところで、

 グッと伝わる!日本の唱歌の歌い方

と題したイベントにて講演・指導をさせていただきました。
本記事はそのレポートでございます。

 ※ 本イベントは、当教室としてではなく私個人として務めさせていただいたものです。

概要

蔭山卓司「グッと伝わる!日本の唱歌の歌い方」

  • イベント名: グッと伝わる!日本の唱歌の歌い方
  • 会場: 童謡・唱歌とおもちゃのミュージアム わらべ館 いべんとほーる(鳥取県鳥取市西町3丁目202)
  • 日時: 平成29年6月10日(土) 14:00-15:30 開場13:30
  • 内容: レクチャー(唱歌における日本語の舞台語発音について)、歌う前のウォームアップ、唱歌「我は海の子」「故郷」の練習と実践、歌った後のクールダウン
  • 講師: 蔭山卓司 プロフィール詳細はこちら

私の感想

このイベントは、声楽的見地より、「肉声」で聴き手に「伝わる」日本の唱歌を歌うにはどういった方法があるのか?ということを知っていただくためのものでした。

・・・正直申しますと、すごく緊張しました!

人前で歌ったり何かを演じたりするときは、楽譜や台本を頭に入れ、自分のモノにして発するというプロセスを踏みます。いわば、与えられた枠の中でいかに表現するかということになります。

しかし、今回は「講演・指導」。題材に使う楽譜はあっても、台本なんか無い!お客さまの反応に合わせて進めていくわけですから、台本はほぼ無意味!

日頃レッスンで音楽の指導はやっていますし、これまでの演奏会で歌ったりMCをしたりといった経験はあります。しかし、私の専門分野、かつ多くのお客さま(約50名)がいらっしゃる中、ステージでマイクを使ってレクチャーして指導して・・・というのは、元々あがり症の私にとって、やはりドキドキものでした。

なおかつ、唱歌・童謡のわらべ館さまからのご依頼ということでしたので、有難みと同時に大きな責任をも感じ、オファーをいただいた4月頃から、当講演について考えなかった日は一日としてありませんでした

なにやら情けない感想文から始まってしまいましたが、いや~、実際に終えてみると、「楽しかった!」「やって良かった!」「貴重な体験をさせていただけた!」というふうに思いましたね。

参加のお客さまは、皆さま実に熱心に取り組まれておりました。

60代以上の方が多かったのですが、こんな青二才の話なのにこくこくと頷きながら聴いてくださり、多くの方がメモをシャカシャカとっていらっしゃいました。体操も「引かれたらどうしよう?」(※) と思いましたが、みなさん一生懸命に取り組まれておりました。皆さまから「伝わる歌が歌いたい!」という思いがひしひしと伝わってきて、本当に嬉しかったです。

 ※ なぜ「引かれたらどうしよう?」と思ったかというと、何年か前に某音楽教室の採用試験で模擬レッスンをしたところ、そこのお偉いさまに「そんなことするの、ドン引き!」と言われ、そのトラウマがあったからです。でも、声楽は体が楽器ですから、歌う前の体操って重要ですね!ちなみに、そこは不採用でした(^^;)

では、以下にて、今回のイベントの内容の詳細について書いていきましょう!

レポート(行った内容)

大まかな内容としては、上記の概要欄に書いたとおりですが、一つひとつについて詳細をお伝えしていこうと思います。

お読みになる方にとって、何らかのヒントとなれば幸いです。

レクチャー(唱歌における日本語の舞台語発音について)

日本語の舞台語発音についてレクチャー中の蔭山卓司講師

 唱歌をはじめとする日本の歌を歌うときのメリットやデメリットに触れた。
 日本語は「母国語」である。母国語だからこそ、歌詞の内容を理解でき、味わえ、また自分の言葉として発することができる(外国語の歌の場合は言葉の壁が大きすぎる)。それがいわばメリットである。しかし、母国語だからこそ細かい発音に関して無頓着になりやすい。ことに歌ともなれば、言葉の発音時間が音符で引き伸ばされるため、粗がありありと表出されてしまう。これがデメリットというわけである。そして発音に工夫がなければ、歌としての芸術的な深みをも失ってしまう。
 日本の歌を歌うとなると、メリットを生かしつつも、歌としての日本語発音(舞台語発音)を掘り下げながら上記のデメリットを埋めていく必要があり、そのタスクこそが、伝わる歌を歌うための基本事項と言えよう。とはいえ、そういった発音ばかり気にしていても、機械的な歌になって心の無い歌になってしまう。そのため、歌詞の文脈や抑揚などを捉え、自分なりに世界観を構築していくことはもちろんのこと、声楽的技術を使って声を遠くに届けるという点や、感情を音楽的に表現しようといった意思も必要不可欠になってくる。
 今回のレクチャーにおいては、以上のお話を、練習方法等について交えながら語った。

歌う前のウォームアップ

ウォームアップ指導中の蔭山卓司講師

 何はともあれ、歌うことはスポーツの一種であり、全身を使う。体が起動していない状態では、身も心も縮こまり、小さな歌(つまり伝わりにくい歌)しか歌えなくなる。そればかりか、筋肉をうまく使えず、悪い発声になってノドを傷めかねない。
 このウォームアップでは、そういった点を説きつつ、実際に関節を緩めたり姿勢を矯正したりしていただいた。もっと色々な体操をしてみたいとは思ったが、今回の本筋から離れないよう、「ウォームアップは大事である」ということをきちんと知っていただき、ご自宅で進んで実践することを推奨するにとどめた。また、聴き手に伝わる歌と呼吸の関連性について説きつつ、腹式呼吸を意識した深い呼吸の習得も試みていった。

唱歌「我は海の子」「故郷」の練習と実践

唱歌指導中の蔭山卓司講師

 一旦10分程度の休憩を挟んだ後、唱歌「我は海の子」(作詞者不定・作曲者未詳)の練習へと入っていった(楽譜は、原曲Es-durを短2度下げてD-durとした)。
 まず、歌う前に必ずやっておきたいものとして、音読・朗読・リズム読みを取り上げた。はっきりゆっくり正しく読むこと、声を遠くに届けるつもりで読むこと、意味や内容をくみ取って味わい深く読むことなどに留意していただくべく練習を進め、リズム読みでは、楽譜の音符のリズムに合わせて読むということをした。そして、それらの練習で得た、歌詞の抑揚、文脈、世界観などを生かしながら歌唱練習へと入り、音楽との融合を試みた。今回は事前に発声練習というものは行わなかったが、体操や朗読等をしっかり行ったためか、皆さまの声はよく出ていた(ご自宅では発声練習をしていただきたい、との旨をお伝えしたかったが、忘れてしまったのは今回の大きな失敗である)。
 「我は海の子」の後は「故郷」(作詞:高野辰之・作曲:岡野貞一)に取り組んだ(楽譜は原曲G-durを長2度下げてF-durとした)。朗読においては、「我は海の子」のときよりもさらに踏み込んで、旧仮名遣い(歴史的仮名遣い)を意識した発音についても触れ、これをすることによる言葉の立体化について説いた。歌唱練習においては、伝わる歌を求めるという点はもちろん同様だが、楽譜上の強弱等のお約束事の解釈の仕方についても知っていただいた。
 練習後の仕上げでは、皆さまの歌がより前に飛んできて、明るさもはるかに増していた。理屈抜きで素敵だった。なお、鳥取といえば「故郷」のゆかりの地である。言葉では表現のしようがないが、皆さまの血の通った歌を直接生で聴くことができて、私は幸いに思った。これはずばり、(あくまで全体としてだが)皆さまの歌が伝わる歌に変貌した結果でもあった。

歌った後のクールダウン

クールダウン指導中の蔭山卓司講師

 私の時間配分が甘く、クールダウンについてはゆっくり触れることができなかったため、かなり掻い摘んで重要性についてお伝えし、簡単なクールダウンの実践を行った。
 今回のように、割とノドへの負担が少ない曲はまだ良いのだが、仮に激しい曲やノドを傷めがちな曲を歌った後は、クールダウンというのが非常に大切なタスクとなる。クールダウンとは、いわば整理運動であり、歌唱後のノドの疲労を少しでも早く回復させるために欠かせない。スポーツでは当たり前に行われているのだが、なぜか声楽においてはあまり重要視されていないのが実情である。歌うときに使った筋肉は緊張して疲労しているはずだから、整理運動をして和らげてやりたいものである。
 今回は、軽い発声をしたり、深い呼吸を行って心を落ち着かせたりという単純なことしかできなかったが、皆さまには、是非日々の練習にクールダウンを積極的に取り入れていただきたいと思った。また、クールダウンについては、ウォームアップ同様にさまざまな方法がある。どんな場合にどういった方法が効率的かについては、私にとって今後の課題のひとつである。

最後に

以上、「グッと伝わる!日本の唱歌の歌い方」のレポートでした!

終えてから時間が経つにつれ、「あのときはああ言ったほうが良かったなあ」とか「アレについて補足しておくべきだったな」とか「口が滑って変なこと言ったかもしれないなあ」と色々思い付き、ひとり反省会状態です(^^;)

毎日のようにコンサルティングなどで講演を行っている方は、本当凄いですよね。慣れもあるのかもしれませんが、一種のセンスのようなものが必要だなあと痛感しましたし、憧れます! 講師として、私はまだまだだなあ・・・!

でも、このたびは誠に素晴らしい機会をいただきました。ご来場いただいたお客さまをはじめ、応援してくださった方々、そしてお力添えいただいたわらべ館の皆さまには、心よりお礼を申し上げます

なお、わらべ館はほのぼのして愉しい場所でした♪
唱歌や童謡の史料、昔の教室にオルガン、そして懐かしのおもちゃなどがありました。もし鳥取の方面に行く機会があれば、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか?見学時間の目安は2,3時間です。

⇒ 「わらべ館」公式サイト

 

 

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